大喜利天文台 2部
お題

画像で一言
遠くを見ているさんの作品
「パイロットを辞める」と伝えると、妻はひどく憔悴した。

栄太郎はうさ耳を外して続けた。
もっと自由に空を飛べると思ってた。限りない太陽の下、一人でどこまでも行きたかった。でも現実はどうだ。時刻表通りの発着に追われ、乗客の命を預かる責務に神経を尖らせる。華のある、立派な職業である。しかし同時に、刺激が足りないという表現もまた当てはまるのだろう。
雲の上で他の飛行機と出会うことがある。これが自転車なら会釈の一つもするが、お互いの機体は数百km/hで飛行している。栄太郎の中で心労が飽和点に達した時、ああ飛行機が衝突すればいいのにと考えたことは、一度や二度ではなかった。栄太郎は幼女みたいにガチ泣きした後、

【信用されてない】
マネージャー「高木ブーさん明日18時半です」

と投稿した。

「これからどうしよっか...」と妻が呟く。妻のヘビの物真似だけでは、来月のお醤油代さえ怪しい。
「時間をくれ」と返す。実は栄太郎はこの結婚生活の終わりさえ見据えていた。心の安寧を求めて結婚したはいいが、どうしても刺激が足りない。彼女は元アナウンサーだが、性格が良いタイプのアナウンサーだ。性格が悪いタイプのアナウンサーではなく、性格が良いタイプのアナウンサーだったのだ!!

栄太郎は自室に篭った。これからしたいこと。職場では穴太郎と呼ばれてること。45年間、自分が今までしてきたこと。他人に小道具を作らせてたもう中学生。人生を振り返っていたら、脳裏に白球が飛んできた。

あの夏は間違いなく、人生で一番の衝撃だった。
9回裏の守備、ワンアウトランナー満塁。試合はスコアレスドローの投手戦。相手の4番が放った打球は、力無く、しかし絶妙な軌道で左中間に飛んできた。

衝突。落球。
俺とぶつかったセンターが急いで本塁に送球する。セーフ。サヨナラ。
泣きじゃくる二人の2年生を見ながら、3年生は全員晴れやかな顔で笑っていた。それでいい、全力でやった結果だから、と。抱き寄せてくれる先輩の胸で誓ったリベンジは、次の年に果たすことになる。

失敗してもいい、大丈夫。何歳からでも良い。情熱を追いかけるのが人生だ!決意は早かった。
吸いかけのお醤油を吸いきり、居間にいる妻の元へ飛ぶ。そして叫ぶ。

オッケーやりたいことやるわ!!バニーガールのゲイバーをやる!!決めました あと地図記号だけの塾を作る 誰が来日しても、驚かない 川魚を獲る速さで鳥に勝つ 靴という文化を、一旦無しにする いつやるか?オイオイ...!今でしょ...!オイ...!てかまずウンコしたいから今からめっちゃ水飲むわ

妻は「シャー」とだけ言って、少し小さくなった身体をくねらせた。掠れた声で、ありがとうと返した。お互い歳を取ったなと思った。
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2点Sierra
2点可決オレンジ
4点根岸
2点涙の川とエクボ
2点神谷テクニカ
4点魂の裏切りの夜
2点
2点サメVS巨大タコス
3点アガリブル
3点家雨
3点オワコンパンダちゃん
2点
4点もらってく
4点祭囃子
2点くるまのごはん
2点板野
3点すでにショーン
3点はさまり
2点夏のワルプルギス
2点新大